あ、ここってどんなかな、と思って、穴を掘ってみる。
何かすてきな宝物が見つかりそうだったのに
しばらく掘ってもたいしたものは何も出てこない。
だんだん飽きてきたから次にほる所を探しはじめる。

うろうろしていたら
また新しい魅力的な場所が見つかったので、また掘ってみる。
ここにはもっと前よりもいいものが埋まっているかもしれないと思って
掘ってみる。
でもやっぱり前と同じ事。

また掘るのを止めて、他の場所を探し出す。
そんな事を何度も繰り返しているうちに
掘り返した土の山があちこちにできた。
それを見ながら、思うような宝物なんか見つからないんじゃないかと
ちょっと思ったりする。

ほんとはそれがどこかにあるはずとどこかでは信じている。
足元から「ここを掘ってごらん」という声がした。
何の変哲もないその場所だったので、何の期待もなく
とりあえず掘ってみる事にした。
やっぱり何も出てこない。

掘るのを止めてしまおうかと思ったら
「もうちょっと掘ってごらん」
とまた声がしたので、じゃあもうちょっと掘ってみようかと思う。

相変わらず素敵なものは出てこないけど、
掘っているとその土がとても良い香りがするのに気付いた。
それに土の湿度が私の手を潤わせ、
土の暖かさが私の手を温めた。
今まで表面だけを掘っては止めていたので
そんな事には気付かなかったのだ。

土にある宝物をさがしているというよりも、
掘っていく過程そのものが未知で、面白いものだった。
途中で雲やマグマや雨や風、水がわきおこった。
それを楽しみながら、ちょっとずつ掘っていく。
そんなやり方を今まで知らなかったのに、
今では当たり前のように感じているのは不思議な事だった。


2003/12/28 Sun