納涼大掃除
暖かくなったら、出始めた。
例の胡麻粒大のツルツルした、茶色い虫だ。
私はこれがどこからやってくるのか、知っている。
外から入ってくるのではない。あそこだ。
流しの上についている、食品戸棚の中だ。

去年、やはり、茶色い虫がたくさん飛んでいたので、
出どころを調べてみたら、食品戸棚の、干ししいたけの袋だった。
開けてから、口を完全に密閉していなかったので、その中に入り込んで、
増えていたらしい。
私は、暑いのに、寒くなりながら、戸棚を掃除した。
しかし、それが、不充分だったらしく、
今年も発生してしまったようだった。

私は、寒くなるのを覚悟して、完全な、大掃除をすることにした。
ゴム手袋をして、流しには、新聞紙を広げた。
意を決して、戸棚を開けると、いた!10匹はいた。
さむい!暑いというのにさむい!
そして、さらに、何だかかゆくなってくる!
でも、ここでくじけてはいけないのであった。

気をしっかりもって、食品や缶詰を一つ一つ、裏側や中を調べて、外に出した。
虫は見つけ次第、一匹づつ殺した。
小さい戸棚のくせに、意外と物が詰まっている。
虫は、缶詰のうらの筋のところや、箱の内側にまで入り込んでいた。
しかも、まだ使っていない、せいろの中にまで入り込んでいる!
これには、むかついた。
まだ一回も使ってないのに!!
せいろを力いっぱいバンバンたたいて、虫を追い出すと、中に入り込んでいる虫のために、
湯をわかして、その上に、
せいろをのせた。
熱い蒸気で、虫もイチコロに違いない。

こんなことをしているうちに、コワイことに、虫退治に慣れてきていた。
寒いながらも、事務的に処理しているわたしがコワイ。
流しに広げた新聞紙には虫の死骸がつもっていく。

せいろを下ろして、バンバン再度たたくと、三匹ほどポロリと出た。
フン、やっぱりね。
とちょっとすっきりする私。
ゴシゴシ洗って、更に日光消毒。

全ての食品やら、電動ミキサーやらを出し、やれやれと
一休みしていると、
なにか、黒い物が、出した食品の間から出てきた。
5ミリくらいのツルツルの虫だ。

これは!!
もしかして、虫の親分では!
と、とっさに思った。
蜂でいうと、きっと女王蜂みたいなやつでは!
これ一匹いれば、何匹も増えるってやつでは??
よく分からないが、勝手に納得して、
即座に死んでもらった。

これを殺して、私の中では戦いが終わったような気がした。

多分、100匹は、いたと思う。
こんなに殺してしまって、ごめんなさい。
お許しください、神様!

今や食品戸棚は、いらないものや、虫の入り込んでいた粉類などを
捨てたおかげで、スッキリし、虫も見かけなくなった。
やっぱり、あの黒いやつが、生産していたに違いない。
私はそう信じている。

せいろ、使おうかな。