"Love Love Love"
〜和希ED〜





(助けて・・・和希ッ・・・)



無条件に助けを縋るのは彼。

唯一無二の友人である彼は、何があっても啓太の味方をしてくれて。

それに安心している自分がいることを、今更ながらに思い知らされる。



初めてのトモダチ。

そして、初めて、好きになったヒト・・・・。

和希と居ると、楽しくなる。

いないと、寂しい。

和希を思えば、胸がぎゅっとなる。

好きだと気づいたのは、いつ頃からだったろう。

気づけば、和希の隣にいるのが自然になっていた。



(和希・・)



翌朝、家を飛び出し、道を見回す。

和希が来ていないかどうかを。

姿が見えなくて、不安になる。

突然。



「けーいた」



聞きなれた、その声に。

驚くのと同時に安心する。



「か、和希!」

「・・・どうしたんだ、啓太。泣きそうな顔して・・」

「俺・・俺、どうしたら良いか・・」



流石に、からかっている場合ではないと思ったのだろう。

和希も真面目な顔になる。



「とりあえず、向こうで話そう。啓太」

「・・」



和希の言葉に、声で答える余裕はなくて。

ただ、こっくりと頷いた。






+++++++++




「・・・それで?啓太」

「・・・それが・・」



最初は、もごもごと言っていたのだが。

意を決したように、顔を上げる。



語りだしたのは、自分の身の上。

自分が西園寺であること。

女として育てられている事情。

そして、帝に求婚されている事実。

これからの身の振り方に困っていること。

今の自分に思っていることを、全て話す。



終ったあと、しばらく沈黙が続く。

ぽつり、と和希が語りだしたのは、

啓太が良い加減に沈黙の痛さに耐えられず声を発しようとしたときだ。



「・・・啓太」

「・・何・・?」

「・・・俺は、お前は帝の所に行くべきだと思う」

「っ!?」



何でそんなことを言うのかわからなくて。

少しだけ潤んだ瞳で、和希を見る。



「だって、考えても見ろ。帝だぞ?

西園寺よりも権力の高い帝の元へ行けば、何も困らないじゃないか」

「・・・かずき・・・・」

「何悩んでんだよ、啓太」

「だって・・・だって、帝のところに行ったら、

もしかしたら和希たちに会えないかもしれないんだよ・・?」

「それは、仕方ないよ。

それに、もしかしたら帝は、自由を許してくれる人かもしれないじゃないか。

そしたら、俺達はその後でも会えるだろ?」

「・・・そんな・・・」



相談した。

相談はした、けど。

自分が求めていたのは、そんな答えじゃない。

自分は、行くなと引き止めて欲しかったのだ。

違う人のところへ行くな、と。

トモダチでも、何でも良いから。

お前がいないと寂しくなるの一言も欲しかったのに・・。

その、一言もない。



「・・・和希の・・」

「ん?」

「和希の、馬鹿っ!!お前がそんなに酷い人間だとは思わなかった!」

「え・・・おい、啓太!?」



和希の声に振り向くこともなく、一気に西園寺の家に向かう。

ぼろぼろ涙を流しながら、決意する。

やっぱり、自分は帝の家に行くべきなのだ、と。








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