●Vampire panic!●
ふらり。
一人の男が、くらくらする頭を抑えながら街中を歩いていた。
「うー・・・。やっぱり昼間に出てきたのがまずかったのかも・・」
片手には、コンビニの袋。
中にはジュースとパン。まあ、一般的な食料である。
食事に困っているわけではないようだ。
天気は快晴。だけれども熱すぎるわけでもない。
・・・否。熱すぎる、かもしれない。
何せ、彼の体はこの熱い日に、黒い長いシャツに黒いズボン。
手には黒い、薄手だけれど手袋をつけて。
・・・そりゃぁ、熱いに決まってる。
くらり。
とうとう、眩暈までしてきた。
「うあ・・・。ヤバイかも・・」
黒いズボンと黒いシャツ。
当然である。
伝説で信じられているほど肌は弱くはないが、
だからといって人間のように強いわけでもない。
人間よりも、日焼けしやすい体質なのだ。
人間の、3倍くらいは。
だからこの格好も仕方ない。
だけどこの感覚。
日射病なんかじゃない。
空腹の上、吸血鬼が最高に苦手としている現在の時刻午後0時。
太陽が容赦なく彼を照らしつける。じりじりと。
日射病とかで気持ち悪いのではない。
太陽が昇っている、というその状況が気持ち悪いのだ。
吸血鬼、だから。
吸血鬼といっても、血を吸わなければ生きていけないわけではない。
現に啓太は、ここ最近血を吸ってはいなかった。
ダメなのだ。
啓太にとって、相手の首筋に歯を立てるということは、酷く罪悪感をくすぐるものである。
血を吸わない、のではない。吸えない、のだ。
日常生活に不便があるわけではない。
吸血鬼というのは、まあ難しいことを言えば食物から取り入れ血液中に分解する色んなものを、
分解する能力が衰えてしまった一族のことである。
分解できない。だから分解した物を貰おう。
そういう考えに祖先が達したのも当然の流れかもしれない。
だから、普通の人より食事を一杯取れば良いのだ。
野菜を一杯食べて、肉を一杯食べれば。
だけど。
ついさっき、気づいた。気づいてしまった。
食べ物が、何もないことに。
人一倍食べなければならない彼にとって、食べ物がないのは苦痛である。
それなのに、啓太は一人暮らしをしているから、
啓太が買いにいかなければ食料を補充してくれる人はいない。
わざわざ真昼間に出かけてしまうからこういう目にあうのだ。
「・・」
もうダメだ。
目の前がだんだん白くなってきている。
吸血鬼とはえてして体温調節が苦手な生き物(?)であるから、汗はでない。
おかげで熱は体内にこもりっぱなしだ。
流石に冗談でなく命の危険を感じてしまい、ちょっと木陰で休もうとする。
とん、と目の前に、人が現れた。
というより、人にぶつかってしまった。
すいません、と謝ろうと思って顔をあげる。
その瞬間、息を呑んだ。
○(あ・・・すごく、綺麗な人・・・)○
●(この人・・・・すごく目が綺麗・・・・)●
●あとがき●
選択式パラレル、ということで。
パラレル〜パラレル〜と考えた結果、他に思いつかなかったので吸血鬼で。
吸血鬼役は啓太君にお願いしました。
だって、選択肢っていうリクエストでしたから。
他の吸血鬼の皆様が見たい方はリクエストしてください。(笑)
詳しいリクエストも何もなかったので、こちらで全て一任させていただくことに。
えーと・・・とりあえず今言えることは、選択肢は二つです。
これ以上増やすのは、どう考えても無理です。
いつもどおり、会計部の二人で。
他にも考えたのですが、なんだか思い通りに動いてくれなさそうで。
うう・・・・すいません。
このお話は3万の代リクをしてくださった椿様へ捧げます。
ということで、Vampire panic、始動しました。
しばしお付き合いくださいませ。
・・・自分・・・これ以上長編抱えてどうする気だろう・・・(苦笑)
しかも3本とも選択肢って、中々無謀ですね。
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